中卒でも、旧帝大学に進学できました。
~俺の道vol.1高校に行っていなくても、大学には行くことができる編in恵迪寮(けいてきりょう)~
0.今回の企画の趣旨
・この企画は、恵迪寮(けいてきりょう)に住んでいる様々なバックグラウンドを持つ人々にインタビューを実施することで、世の中にはいろいろな選択肢が存在するということ、またそんな人が身近にいる、ということを知ってもらうことで、中高生の進路についての判断の一助にしてほしいという思いから、立案されました。
1.今回のゲスト
・今回のゲストは、東京出身、北海道大学理学部物理学科3年の小峰くんです。
小峰さんは、
中学卒業後一度就職してから高卒認定試験を受け、のちに大学受験を経て、現在に至る、異色の経歴の持ち主
です。
Q.なぜ、中学卒業後、就職という道をえらんだのですか?
「まず、高校に行くつもりがそもそもありませんでした。というのも、高校に行く意味が見いだせなかったという点と、学校がそもそも好きじゃなかったというところがあります。その理由としては、中三のときにケガをしてしまって、目標であったサッカーができなくなったことで、活力を失ってしまいました。結局、卒業したあと無気力になってしまって、なにもしたくなかったけど、親がそれを許してくれなかったので、就職という形になりました。ただ、就職先は親のつてだったので、普通の社会人よりは自由な環境で過ごすことができました。」
Q.どういったこどもでしたか?
「自由を愛する子供でした笑。あんまり常識もなかった気がします。やっていいこと悪いことの区別があまりつきませんでした笑。犯罪だけはダメってわかっていましたけど笑。基本的に外で遊ぶ子供でしたね、サッカーとか虫取りとか。あと歴史が好きでした。」
‐歴史に興味をもったきっかけってあるんですか?‐
「父親がディアゴスティーニの『日本の百人』という雑誌を買ってきていて、その表紙に偉人の肖像画が書かれているんですけど、それを書き写す遊びをしていて、そのうち中身にも興味をもったのが、きっかけです。」
Q.大学を受験するきっかけを教えてください
「2つあります。一つが、仕事で出会った父親の知り合いが、仕事の休み時間にちくま文庫のブルーバックス、科学の一般教養の本を読んでいる自分を見て、『君は大学で勉強した方がいい』って言ってくれたことです。2つ目が、市立図書館で「御冗談でしょファインマンさん」という本を読んで、彼の人生に対する考え方が、自分のものと似ていると感じ、それが憧れにかわり、俺もファインマンみたいになりたいって思ったことです。」
Q.受験勉強について教えてください
「高卒認定試験や大学受験に関する情報は、すべてネットで集めました。参考書は高校で使っている教科書は購入して、図書館で借りたりもしました。わからないところは、グーグルやYouTubeで調べたりしていました。」
‐人に聞いたりはしましたか?‐
「人に聞いたりはほぼしなかったです。そのせいで、一般的に現役にあたる年のセンター試験は出願を忘れてしまいました笑。」
Q.大学では、どのようなことを学んでいますか?
「大学では、理学部物理学科において、統計力学や量子力学を用いて、超伝導、超流動の理論研究、非平衡統計力学を勉強しています。将来的には時間の矢というのもやりたいです。」
‐それらの勉強は楽しいですか?‐
「勉強は楽しいです。特に、考えてもなかなかわからないことが、数式を用いて解けたようなときは、喜びもひとしおです。」
Q.最後に、進路について迷っている中高生に向けて、メッセージをお願いします。
「希望している進路がある程度定まっている人は、その進路の実現に向けて迷わずに全力を尽くしてください。進路が定まっていない人は、親や友達と過ごしているときなにをしているか、また一人でいるときにどういった本を読んだり、音楽を聴いたりしているか、一度見つめてみてください。きっとその中に進路についてのヒントがあると思います。」
2.まとめ
なんだかすごい勉強している小峰さんでした。
進路選択に関しては、色々な選択肢があると思います。中学、高校ときて大学という枠にとらわれすぎずに、進路を考えてみるのもいいかもしれませんし、人に話を聞いてもらうだけでも、なにかが変わるかもしれません。
寺子屋恵迪(てらこやけいてき)では、毎週水曜日夜18時から20時までZOOMを使って勉強や進路等の相談を実施しているので、ぜひお気軽にお越しください
筆者の余談
この記事を書いた人:北海道大学法学部佐々木
最後に、この企画のきっかけとなった本から、僕が印象にのこった文章を残しておきます。
『あまり「日本は」という言い方は好きではないのですが、海外でいろいろなものをみてくると、日本での、「きちんと型にはまった学校へ行き、卒業証書をもらって、一通りの知識を身につけないと希望している職業には進めない、考えている進路には進めない」という物の見方は、ずいぶん窮屈なように思えます。
(中略)
でも、高校に行かなくたって、大学に行かなくたって、それなりに道はいっぱいあって、それなりに楽しいこともいっぱいあって、それなりに生きていけるということは知っていてほしいなというふうに思います。』(強調筆者)
柳川範之『独学という道もある』ちくまプリマー新書, 2009年より
◯バックナンバー
俺の道vol.1「自由少年」←now!!
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